九段会館テラスについて

#2
モダニズムと歴史的意匠の融合

旧九段会館(当時は軍人会館)の建設に際しては、1930年(昭和5年)にコンペが実施され、その1等当選案を提出したのが小野武雄でした。コンペで示された「設計心得」には、「五、建築ノ様式ハ随意ナルモ容姿ハ国粋ノ気品ヲ備ヘ荘厳雄大ノ特色ヲ表現スルコト」とあり、記念建造物や歴史主義的な表現が求められていたことがわかります。

採用されたのは「帝冠様式《ていかんようしき》」と呼ばれる、コンクリート造の建物に瓦葺きの勾配屋根を塔屋とパラペットに冠したもの。大正末期から昭和初期にかけ公共機関の庁舎などによく用いられた建築様式であり、縦方向を強調した表現と数々の装飾の調和など、近代建築史においても貴重な史料と言えます。

新築部分には、旧九段会館の縦基調の外壁デザインを踏襲。垂直性を強調し、保存部分との調和を図っています。内装も「レトロモダン」をテーマに、左官仕上げの壁や大理石モザイクの床など、一体感を目指しました。また、保存部分では写真や絵葉書などの資料をもとに、創建時の意匠を一部復原しています。

#3 九段会館テラスの施設

#1

名称と役割を変えながら時代とともに歩んできた、90年の歴史

#2

モダニズムと歴史的意匠の融合

#3

九段会館テラスの施設

#4

都心でありながら、豊かな緑と水に囲まれた環境

#5

旧九段会館の保存と活用

#6

九段会館テラス ギャラリー

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